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【映画】 『火垂るの墓』

火垂(ほた)るの墓 火垂(ほた)るの墓
辰巳努、白石綾乃 他 (2006/07/14)
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昭和20年、夏。ぼくと妹は、ふたりぼっちになった。
太平洋戦争末期。神戸に暮らす清太と節子の兄妹は、空襲で親も家も失ってしまう。親戚の家に身をよせたものの、邪魔者扱いされた二人は、大人の力を借りずに防空壕で暮らすことを決めた。夢見たのは、自由気ままな二人だけの暮らし。しかし幼い兄妹を待っていたものは、想像以上に厳しくつらい日々の始まりだった…。
 火垂るの墓を観た。大まかな内容としては、定期的に市民会館あたりでやってそうな反戦アニメ風なのだが、そこは高畑勲監督でスタジオジブリ制作ということで、凡百の反戦アニメを寄せぬけない飛びぬけたクオリティを誇っている。そもそも、高畑勲は本作を反戦アニメだという信念で作ったわけではないらしいが。

 戦争中に両親がいなくなった兄妹が親戚に身を寄せていたものの、おばさんのあまりの口うるささに嫌気がさして飛び出す。二人の兄妹が隣組といった集団主義的な制度から脱し個人主義的な自由な自立を試みるものの、うまくいかず、戦争中という背景を以て、やがて飢えてボロボロになっていくという話であるわけだが、ここで思慮の浅い兄を責めようにもそうはさせないゾと「大人の無責任さ」についてもきちんと線を張っているところが見事だ。要するに本作でいうおばさんと兄貴の関係というのは「そんなにウチの飯が嫌なら食わなきゃいい。ヨソが羨ましいならヨソの子になればいい」という文句の延長にあるわけだが、だからといって現代で、一食ぐらい抜きというのはあるかもしれないが、餓死なんかさせたりしたら犯罪だろう。それが大人であり保護者の責任であろうが、本作では誰もが自分の事で精一杯で、そういう事を気にかけない。時代背景もあって貧しい家庭の子どもはそれこそ売られたなんていうことから分かる当時なりの考え方もあったのだろうが、その中を脱し、お互いが本当の意味で思いやれる空間で過ごしたいと考えた兄貴を誰が責められようか。

 とはいえ、その浅はかさと子どもという地位だけでは済まされない力の無さが結果として妹である節子の死を招いてしまったのは事実だ。本作ではこの節子のキャラクターが非常に魅力的に描けていて、戦争のなか、ひたすら子どもらしく無邪気に振る舞い、やがて衰弱して死ぬ最期の間際までその振る舞いをやめなかったところにグっと来る。空襲とか原爆で死んでしまうのとは違う点で、ある意味で、現代にも通じる問題点が観ている側に突き刺さってくる。本作のズルいところは、兄弟の生き様を「戦争のせい」という風に思わせるような焦点のボヤけた描き方だ。確かに「戦争」は本作を構成する上で重要な要素である。

 しかし、だ。そもそも世話をしてくれる身寄りがいて、我慢すれば本当なら食うだけならなんとかなったはずなのだ。家を飛び出した後でも、妹があれだけ衰弱しているんだったらそれこそおばさんに頭を下げてでも世話になるべきだろう。それをしない、出来ない、兄貴の意地ともしかしたらあったかもしれないおばさんへの申し訳なさからくる謝罪的優しさを貫いた結果の滅びというのはちょうどこの頃やっていた戦争の終わり方に重なるが、一方で、戦後になって、この映画最後に演出される別荘で蓄音機を鳴らして平和と豊かさの戦後的なものを享受する女性達のシーンは、彼女達はそれこそこの間まで「天皇陛下バンザイ。お国のために」であったはずなのに、戦後のメリットを享受できたのは戦中に戦後的なスタイルを貫いた兄妹ではなく、豊かさを享受する女性達が象徴する「大衆」と対照的にみすぼらしい兄と既にこの世にいない妹が映る。

 本作の原作小説の作者である野坂昭如は甲子園で松井秀喜が全打席敬遠されて物議が醸された時に『「教育的でない」というが、強いものとはケンカをするなというのも一つの教育だろう』とコメントしたが、本作にそのコメントがちょうどマッチするのだ。本作が描いてみせているのは、「大衆の恐怖」であり、力の無い人間はその恐怖である「大衆」に入らなければ生きていけない恐怖であろう。本作の兄妹の悲劇に「戦争によって」というフレーズはドラマ性としか機能していないように思う。本作はその時代性よりも、平和な現代にも通じる悲劇のメカニズムを浮き彫りにしている。
ムスコが、この映画スキなんですよ

テレビではもう何回もこの映画放送してますけど
絶対見てますね。
感動・・・とかじゃなく
笑えるシーンを探して物真似してますが・・・
2007/09/23(日) 00:21:39 | URL | いくちゃん #-[ 編集]
>>いくちゃんさん

これも含めてジブリのアニメ映画は何度もテレビでやってますからね。誰にでも通用する話題の戦争映画ということで、本作は貴重なのかもしれません。
2007/09/23(日) 21:30:00 | URL | コウイチ #-[ 編集]
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