【映画】 『隣人は静かに笑う』
![]() | 隣人は静かに笑う ジェフ・ブリッジズ、ティム・ロビンス 他 (2004/01/21) 日本ヘラルド映画(PCH) この商品の詳細を見る |
衝撃のラストが話題となったサスペンス。10歳の息子と暮らす歴史学者・ファラデーは、隣りに越してきたラング家と親しくなる。しかし、どこか怪しい雰囲気を持つ一家に、ファラデーは疑問を抱き始める。1998年のアメリカのサスペンス映画『隣人は静かに笑う』を観た。
9歳の息子と暮らす大学教授の主人公が隣の家の家族と親しくなっていくうちに、彼らが怪しい雰囲気を持っていることに気づく。1995年のオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件をモチーフにしたというこの作品は、個人の犯行と見られていたテロ行為が実は組織的に行われていたという設定で描かれており、ごく普通の隣人に危機が潜んでいることを表現している。本作の主人公は、FBIや政府に頼らず、自分の手で家族を守ろうと奮い立ち、真実の追究とテロとの戦いを進めていく。主人公の行動を中心に非常に保守的な価値観で描かれているが、本作内でそのことをわざと他のキャラに指摘させている。そして、一時的にその価値観が揺らぎ、隣人は実は怪しくないと思うエピソードが挟まれている。それで万事平和。世は並べて事もなし。となれば、まさにハッピーエンドであるが、やっぱり隣人は怪しい。そして隣人は確かにテロリストだったという展開に続く。隣人を追っていくうちに恋人を殺され息子を攫われた主人公とテロリストとの戦いが始まるのだ。これで並みのアメリカ娯楽映画であれば、テロと戦う主人公が活躍して最後には勝利を収めることだろう。しかし、本作は違った。最後の最後までテロリストの勝利で飾られており、逆に爆弾テロによって命を失った主人公個人にテロ行為の罪が擦り付けられ、テロリスト達はのうのうと平穏な日々を手に入れるという悲しい結末で締められている。隣人であっても気が許せない、何気なく接している人がテロリストかもしれないという危機感と不安を主張した映像作品だった。映画冒頭で都市的な殺伐とした交流、隣の家にどんな人が住んでいるかも分からないことを嘆く主人公の姿があるが、隣の家と親しくなったことにより抱いた疑いが最後には主人公を悲劇へと追い込んだ事はテロに怯えるアメリカ社会とアメリカ的な社会を目指している日本にとって非常に暗示的である。
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