【映画】 『殺したい女』
妻を殺そうと計画していた男が、妻が誘拐されて大喜びという喜劇。製作はマイケル・ペイサー。エグゼクティヴ・プロデューサーはリチャード・ワグナー、ジョアナ・ランカスター、ウォルター・イエットニコフ、監督は「フライングハイ」のジム・エイブラハムズ、ジェリー・ザッカー、デイヴィッド・ザッカーのトリオ。脚本はデール・ローナー、撮影はジャン・デボン、音楽はミシェル・コロンビエが担当。出演はべット・ミドラーほか。1986年のアメリカの喜劇映画『殺したい女』を観た。金目当てで女と結婚した男が妻を殺す計画をたてるが、ある日、妻が誘拐され、要求を呑まなければ妻を殺すと犯人から脅迫されたから、男は大喜び。男は犯人からの要求を呑む気はさらさらなく、警察に知らせるなというのに警察やメディアにバンバン知らせるし、身代金の支払いも渋る。一方、犯人である男女組は誘拐した妻と次第に打ち解けていく。やがて、妻は夫が自分への身代金の支払いを渋っていることを知らされ、犯人らとグルになって夫の身ぐるみを剥ごうとする。
ニュー・ファッションで大金持になったサム(ダニー・デヴィート)は財産目当てでもらった女房のバーバラ(ベット・ミドラー)が嫌になり、その殺害計画を情婦のキャロル(アニタ・モーリス)に嬉々として話す。車ごと断崖から突き落とそうと、クロロフォルムを手に帰宅した。ところが、彼女の姿がない。電話があって「バーバラを誘拐した。身代金は50万ドル、警察にしゃべると生命はない」という。喜んだ彼は早速警察に通報した。犯人のケン(ジャッジ・ラインホールド)とサンディ(ヘレン・スレイター)夫婦はバーバラを地下室にとじこめるが、わがままなバーバラに手を焼く。もともとサンディのデザインをサムが盗んで大儲けした分を取り戻そうという考えでバーバラを殺す気など始めからない。サムはいつ殺してくれるかと思っているから、身代金を払う気などなく、1万ドルに値下げしても相手にしない。キャロルはサムと一緒になる気などなく、サムのバーバラ殺害現場を若い情夫のアール(ビル・プルマン)にビデオ録画させた。断崖にきたのは男とコールガールで、2人は大ハッスル。サムをおとしいれるためビデオを見ずに警察署長(ウィリアム・G・シリング)に送りつけた。ところが、署長がビデオの人物だった。一方、バーバラとサンディは意気投合し、サムが1万ドルでも払おうとしないことを聞くと、彼の腹の内を読み、サンディとケンに協力し、亭主の全財産を奪う計画をたてた。キャロルは署長に電話で圧力をかけ、署長はサムを仕方なく調べ始めた。サムは200万ドル以上の身代金を要求され、それを払わないと自分があやしまれるとあって、仕方なくOKする。身代金を横取りしようとアールが出現したり、大混乱のすえ、ケンが車で逃走し、波止場から海へ。水上に浮かびあがる札束をつかもうと人々が海へとび込む。無事発見されたバーバラはサムの尻を蹴り、彼を海中へおとす。そして、大部分の札束を手にして別の浜辺にあがってきたケン、サンディの2人と一緒になる。
夫婦間の冷めた愛を描いたある種風刺的とも云えるコメディで、最後には男がきちんと仕返しされているわけだから、教訓的であるともいえるかもしれない。三谷幸喜のようなセンスと知性に溢れた笑いの台詞回しでありながら三谷幸喜のようなクセのあるしつこさがないのがいい。しかし、なんといっても主演のダニー・デヴィートとベット・ミドラーの演技が素晴らしく、彼らの魅力でもって本作の笑いは成立しているといっていいだろう。シナリオ的に最後の展開が少しグダグダ気味なのが残念だが、最後の最後まで妻が死ぬことを本望とし、人前で必死で建前を貫くダニー・デヴィートの表情の素晴らしさだけで本作は観る価値があるといっていい。
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