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【本】 『ベッドタイムアイズ』 (山田詠美)

ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨 ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨
山田 詠美 (1996/10)
新潮社
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 アメリカの黒人脱走兵との恋愛小説。平易な文体であるにも関わらず肉体的質感を漂わせ、艶かしさを表現できているのは著者の天賦の才なのかもしれない。

 本作で印象的なのは主人公の女性である「私」が黒人脱走兵であるスプーンの男性的な肉体美に徹底的に惚れこんでいるところだ。
私もスプーンに抱かれる事は出来るのに抱いてあげる事が出来ない。
 彼のディックは赤味のある白人のいやらしいコックとは似ても似つかず、日本人の頼りないプッシィの中に入らなければ自己主張ひとつ出来ない幼く可哀相なものとも違っていた。海面をユラユラする海草のような日本人の陰毛は、いつも私の体にからまりそうな気がし恐怖感すら覚えてしまう。
 本能的に男性の強さの象徴である性器に執着するところは山田詠美と同じ芥川賞選考委員の石原慎太郎などと通じるところがあり、黒人男性の肉体的強靭に対する羨望は男根主義が見え隠れする。

 山田詠美は特に男性読者からは好き嫌いがわかれそうだが、僕は山田が詠美が好きである。ベッドタイムアイズの主人公である「私」は男の肉体を束縛しない、男の攻撃本能を抑えつけない最高の女を演じている。いい女なのになぜか一部では評判が悪い。股が緩いからだろうか。それとも黒人男性のアレと日本人男性のアレを比べているからだろうか。

 思う。やはりこれだけいい女はいない、と。はっきりいってスプーンは「だめんず」だと感じる。女を殴るし、言葉も汚い。しかしそんなスプーンの全てを身体で受け入れてあげる「私」。いい女だ。こんないい女はそうはいまい。

 男に男らしさを求め、自身の女らしさに及ぶと拒否する。身内に自衛官もしくは元自衛官がいないのだろうか。軍隊的なものを空想賛美しつつ、家庭においては男の攻撃本能や獣性を徹底に抑制させようとする。最近増えてきた保守の皮をかぶった女。

 これなんか女以前に人間として魅力を感じない。男が自殺したくなるのもわかる。
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