【映画】 『武士の一分』
![]() | 武士の一分 木村拓哉、檀れい 他 (2007/06/01) 松竹 この商品の詳細を見る |
幕末時代の海坂藩(山形県庄内地方に実在した庄内藩がモデル、現在の鶴岡市)。藩主の毒見役を務める侍、三村新之丞は妻・加世と慎ましくも幸せに暮らしていた。だがある日、毒見の際に食べた貝の毒に中り失明してしまう。この一件から一時は絶望するも加世の支えもあり、光の無い世界に慣れてきたある日、加世と番頭・島田藤弥との不貞を知ってしまう。島田に体を預けることを引き換えに家禄を保ってきたことを知った新之丞は加世を離縁。その後、実は島田は加世を弄ぶために家禄を口実に加世を騙したことを知り、島田に対し、自らの「一分」を賭けて果たし合いに挑む。山田洋次監督の時代劇3部作の3作目である『武士の一分』を観た。
木村拓哉演じる山形の下級武士・三村新之丞は藩主の毒見役を務めながら妻・加世(壇れい)と慎ましい生活を送っていた。しかし、ある日、お役目中に貝の毒に当たり失明してしまう。新之丞は絶望のあまり自害を試みようとするが、妻の説得・励ましがあり、思いとどまる。一方、加世は夫の処遇についての口添えを島田という男に頼みにいくが、その場で体を弄ばれてしまう。以降も加世と島田の関係は続くが、ふとしたことからそのことが新之丞に察知され、加世は自ら島田との不貞関係を新之丞に告白する。島田に体を預けた加世を新之丞は離縁する。やがて、島田が加世を弄ぶために騙していたことが明らかになり、新之丞は武士としての己の「一分」を賭けて島田に対し果し合いを挑む。
時代劇としてはありきたりな復讐劇になっていて、基本的に最後の殺陣場面のためにそれまでのドラマというものはあるものなのだが、これは殺陣はいまいちだったが、ドラマとしてはまずまずよかった。献身的に主人に尽くす妻・加世が悪者に犯されてしまう絶望、思わず木村拓哉に感情移入してしまうほど切ない。「俺の中で加世は死んだ」というようなセリフがあったが、観ている自分としても、加世が島田に体を預けているところでは加世に対する嫌悪感、まるで東京にいる30過ぎた独身女性(非処女)を見るかのような、そんな嫌悪感が湧き上がってきた。もっとも、加世は完全に騙されていたわけで、果し合いを終えた後で再び加世を迎えた新之丞にもまた感情移入が出来る。あれだけ献身的で純真で美しい妻、騙されたのは世間知らず的な無垢な優しい弱みがあったからに他ならないが、だからこそああいう風にして騙されてしまったとも云えるわけで、ある種「貞操」とバーターな部分によって起こったその瑕疵であるならば、あえて寛容する、その新之丞のあり方に共感できる。離縁した新之丞にも復縁した新之丞にも共感できた。
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