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【映画】 『ビーン 劇場版』

ビーン 劇場版ビーン 劇場版
(2007/12/07)
パメラ・リード、ハリス・ユーリン 他

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 イギリスが生んだ世界的ヒットのTVシリーズコメディ『Mr.ビーン』の劇場版。

 イギリス・ロンドンの美術館職員であるビーンが館の代表として、ある絵画に纏わる式典のためにアメリカ・ロサンゼルスの美術館に派遣される。

 ビーンといえばサイレント映画としても十分に通用するような視覚的・直感的なギャグがメインである。サイレント映画といえばチャップリンよろしく言語・民族の壁の超越を志向したような世界横断的に訴えるパワーを特徴として思い浮かべるが、TVシリーズのビーンはまだしも、長編劇場作品となった本作はきちんとした言語としての英語が多用されており、メッセージとして利用されている。崇高な思想・理念が背景にあるのではなく、ベタに大衆化させていることが窺える。

 ビーン演じるローワン・アトキンソンの千変万化の表情・顔芸と絶妙な所作芸が古典的ギャグを斬新にして我々を大いに盛り上げてくれるものの、その芸風は知的障害者風ともいえ、キャラクター・ビーンの舌足らずで知恵遅れ的な「個性」の上において、我々の中に潜む差別的・嗜虐的・暴力的な心性を擽ることで笑いをとっているような面もある。笑いとはそんなものなのかもしれない、といってしまうと寂しくなるが、凡百のコメディアンのコントは例えば船場吉兆の親子会見の齎す笑いには到底敵わないものの、ビーンにはそれに対抗するパワーがある。天然の「馬鹿」に対抗できる程の知的に計算され尽くされた「馬鹿」。

 映画版である本作はアメリカ絡みが影響したのか、中盤からはハリウッド映画的な家族・青春物語としての感動ウェーブが全開となって押し寄せてくる。一本の長編作品としてはうまくまとめられているものの、ビーンとしての笑いの尖鋭的な面は削がれてしまっていた。TVシリーズの短編とは勝手が違うとはいえ、残念である。最初から最後までブラックでパワーのある笑いという路線を維持して欲しかった。
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