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【映画】 『Wの悲劇』

Wの悲劇Wの悲劇
(2001/06/22)
薬師丸ひろ子、三田佳子 他

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スキャンダルを利用し、女優としての成功を目指す少女の姿をミステリータッチで描いた作品。人気推理作家・夏樹静子の同名小説を映画化し、ハタチの薬師丸ひろ子が主演を務めています。先輩女優役を三田佳子が演じ、薬師丸ひろ子との演技合戦や、劇中で繰り広げられる舞台劇と主人公が体験することがダブる巧妙な構成も見どころ。

劇団の研究生・三田静香(薬師丸ひろ子)は、新作『Wの悲劇』の準主役のオーディションを受けるが落選してしまう。落胆する静香に優しい言葉をかけたのは、劇団女優の看板女優・羽鳥翔(三田佳子)だった。だがある時、羽鳥の部屋を訪ねた静香は、男が死んでいる現場を目撃。羽鳥からこのスキャンダルの身代わりを頼まれた静香は…。
 1984年の日本映画『Wの悲劇』を観た。20歳の薬師丸ひろ子が主演。若いな。本作で見る20歳の薬師丸ひろ子はブリっ子と田舎少女的野暮で構成されていて、素朴な雰囲気だった。その素朴な雰囲気の少女は女優としての活躍を夢見る劇団の研究生。本作は少女が劇団の中年先輩と寝て処女を喪失するシーンから始まる。

 処女喪失から大人の女性であり、女優への階段を狡猾に登り始める。純朴風な少女が一回のセックスから割とオープンな気質になってそこから本当の意味で心と体を許せる新しい恋人が出来るなど序盤はモダンな純文学的な話が展開される。

 本作で重要な要素となる劇中作の『Wの悲劇』のWにはwomenつまり女性達の悲劇・悲哀という意味がこめられており、劇中作のストーリーと女性達の悲劇を重ね合わせたプロットは、後半になって主人公がスキャンダルに巻き込まれてようやく真価が発揮される。先輩の女優スターとの性行為中にある会社社長が腹上死してしまう。うろたえた先輩スター女優に呼び出され、取引をすることで、主人公は先輩スター女優の代わりに愛人・枕営業という汚名の看板を背負う。

 記者会見で関係を問い詰められても役者としての真に迫った演技で騙し通した主人公は約束通りに先輩スター女優に計らってもらい、ライバルの役者を蹴落として、見事に『Wの悲劇』の準主役の座を射止める。当初オーディションに落選した演技の力量は、既に準主役にふさわしいレベルに上がっており賞賛を受ける。

 印象深いのは先輩スター女優が主人公に、そして主人公が記者会見でマスコミと世間大衆に向かって「枕営業」について正当化する力説。アルバイトをしながらでは演技の勉強もままならない貧しくも清いスタイルでチャンスを逃す愚かさを説く。観ていてあまり気分の乗らないところだが、役者を目指す、演技を志向するというのはつまるところはそれこそ現実でもストーリーに乗っかって自分を含めたあらゆる存在を騙していかなければならないのかもしれない。

 例えば、昔のSMAPの演技が見ていられない酷いものでも今のSMAPがそれぞれそこらへんに転がっている俳優に比べて演技という表現力そのもので凌駕するほどにまで磨かれているように、例えば、リング2の頃の深田恭子は噴飯物だったが下妻物語ではそれなりに味が出せているように、単純に彼らが年月を経て人間として厚みが出て醸成されているというのもあろうが、やはり彼らが掴み取った地位とチャンスを活かして徹底的に磨けたからこそ成せる業だろう。彼らの成長と変化の例を知るだけでも、地位というものが人をつくってしまう面を否定できず、「女」を使ってとりあえずある程度の地位に上り詰めることが演技そのものを磨くためにも重要であるという本作のメッセージも迫真だ。

 もっとも、そこには悲劇と悲哀の意もこめられており、本作が正統派ロマンスであったら結ばれていたであろう男性と結局は別れてしまうシナリオで暗示されている。こういう世界は女性の幸せとバーターという認識はそもそも女性の幸せは何なのよってことで80年代以前の古い認識として切り捨てられてしまうだろうか。いずれにせよ、僕はあまり憧れない世界だ。グラビアやビデオで惹かれたり興奮したり自慰行為をしたりすることはあっても、何かのコンサートとかファンの集まりのような会とかに出て熱狂的に支持することへのためらいもそこにある。そういうのは生の意味で云うならば自分の身内とか友人とか恋人とか妻に送りたい。

 ところで、本作はナチュラリスト高木美保のデビュー作だそうだ。薬師丸ひろ子のライバル女優役として登場している。あまりに整った容姿は少々神経質そうなトゲのある雰囲気を抱いていたけれども、魅力的だった。個人的には薬師丸ひろ子よりも輝いていた。変な話、若い頃のあの神経質そうな魅力と繊細で薄倖な美しさの反動で、今の高木美保の痛さがあるんじゃないかと思った。そして、そういう目で見られてしまうところに川島なお美とかとは違う、神経質そうなタイプの不遇が存在するな、と。
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