【映画】 『箪笥』
![]() | 箪笥-たんす- (2006/06/23) イム・スジョン 商品詳細を見る |
父に連れられ、ソウル郊外の家に帰ってきたスミとスヨンの姉妹。若く美しい継母のウンジュが2人を迎えるが、笑顔の奥には冷たい表情が浮かぶ。姉のスミは異様なまでに妹スヨンを気遣い、ウンジュへの不信を顕わにした。その日から、家の中で奇妙な現象が起こり始める。姉妹を襲う悪夢、ウンジュの視界に映る不気味な影。不安から、継母と姉妹の関係はさらにこじれていく。恐怖が限界に達した時、スヨンの部屋の箪笥の中で、隠された家族の秘密が明らかになる。2004年の韓国のホラー映画『箪笥』を観た。シックスセンスの要素をリングのホラー雰囲気の中に取り入れた感じの作品でドラマツルギーにこだわられている。
韓国の古典怪奇談「薔花紅蓮伝」をモチーフに、4人の家族を襲う恐怖を描いた本作は、「家」と「家族」にまつわるミステリー・ホラー。継母と姉妹、父親と娘、夫と後妻という3つの関係が、それぞれに溝を深めながら複雑に絡み合い、そのドロドロ感が単なる怪奇現象以上の層を作り上げていく。さらにその映像は絵画のような艶やかさを持ち、雰囲気は抜群。先の読めない展開と、やがて明らかになる意外な真実に、驚きと切なさを感じることだろう。
監督は『クワイエット・ファミリー』『反則王』のキム・ジウン。国内外で高い評価を受ける新鋭の手腕に、ホラー・リメイクがブームのハリウッドも注目し、スティーブン・スピルバーグ監督が史上最高額でリメイク権を獲得した。
(goo映画 http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD5308/story.html)
二人の姉妹と父親、そして姉妹と確執のある継母という複雑な家庭環境をベースに怪奇現象を交えながらある真実に向かって話が進められていく。病んだ精神状態の主人公の心の奥底に仕舞われた出来事が解きほぐされていくことで現実と虚構のシーンが錯綜するという演出をとっており、なかなか興味深いプロットではあった。
何が起こるか、そもそも何が起きているのか分からない。けれど、意味不明ではなく、確実な違和感が与えられながらも、とりあえず筋が通って物事が進む。このプロットによって、ホラー演出が活きる。瞬時的な甲高い音の多用と思わせぶりな場面で切り取った映像の迫力という演出方法は如何にもJホラー的でベタではあるが、未知の存在への恐怖と関心が手伝って、空気が見事に緊張の方向に操作される。
シーン毎の表情や情景を映す時間が長く、テンポの悪さが間延びを齎している感はあるものの、真相が明らかになるまでの過程は所々に敷かれた伏線の回収の仕方も見事でミステリーやホラーの要素をうまく使っていて一見の価値がある。
「真相」が明らかになった後、つまり、最後まで観ると、感触の弱さに少し戸惑った。それは最後まで出来事の表面をなぞるだけで主人公以外の人物像がはっきりしなかったことにある。その繊細さが本作のカラーとも云えるのだろうが、世界も人物も主人公の主観によって歪められてしまっているので、観ている側としては冷静な判断が下しにくく、モヤモヤ感が残る。最後には神の視点でそれぞれの人物の素の表情が演出として表現されているわけだが、それとて、それまでの過程を考慮すると信用に値するか、といったものである。故に、骨太なメッセージをセリフとしてきちんと表現することによって真実に対して明確に切り込んで欲しかったという思いもある。もっとも、そのあたりのどこまでいっても現実と虚構の違いをはっきりさせない演出も含めて、よく考えられて作られている作品だなという感想もある。
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