【映画】 『蝿男の恐怖』
![]() | 蝿男の恐怖 (2007/12/21) アル・ヘディソン 商品詳細を見る |
カナダ人物理化学者のアンドレが上半身を潰された死体で発見される。容疑者は現場から逃げてゆくのを目撃されたアンドレの妻ヘレンだった。妻は警部に信じられない話を語り出す。1958年のアメリカ映画『蝿男の恐怖』を観た。後に『ザ・フライ』としてリメイクされる蝿男映画の元となった映画。僕ぐらいの世代で蝿男といったらリメイク版の『ザ・フライ』の方が馴染んでいるのではないだろうか。どうだろうか。僕はリメイク版しか観たことが無かったが、こちらの作品『蝿男の恐怖』もかなりの傑作だったというか、むしろ本作の方が面白かった。さすがに現在から見れば映像効果に派手さは無いが、随所に存在する凝られた演出と完成度の高いシナリオの織り成す緊張感が時代を超えて観るものに恐怖を与えてくれる。
物理化学者のアンドレは物体を瞬時に別の場所に移動させる物質電送機を発明した。彼はカップや猫を用い電送実験を成功させる。そして自身で電送の人体実験を行い成功したかに見えた。しかし、機械の中にハエが紛れ込んでいたため、電送の最中に両者が交じり合い、アンドレは頭がハエで体は人間、ハエは頭が人間で体がハエになってしまう。頭がハエの人間になってしまった物理化学者のアンドレとヘレンは、頭が人間のハエを捕まえて再度物質電送機にかけて元に戻そうと計画する。だが頭が人間のハエはなかなか見つからない。そのうちに、頭がハエとなってしまったアンドレは、自分の人間の意識がハエの意識になってくることに危機感を感じはじめた。彼はその研究をすべて破棄した。自身もまた痕跡の残らないよう、妻に懇願し上半身を圧搾機で潰させ死を選んだというのだ。
ヘレンの意外な話を警部は信じられないでいたが、庭でショッキングな証拠を目にするのだった。
(Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/ハエ男の恐怖)
蝿男になった科学者の哀れな末路の筋書きにある悲劇性が秀逸。蝿男になった科学者の男とその妻の変わらぬ麗しい愛が蝿男の素顔を晒した瞬間にあっけなく崩れたり、人間の顔をした奇妙な蝿が乞う助けに対して警部が衝撃のあまり蝿を殺してしまうなど、人間性に迫った哲学的な悲劇が味わい深い。50年経った今でも色褪せない名作との評価も頷ける。
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