【映画】 『タイヨウのうた』
![]() | タイヨウのうた スタンダード・エディション YUI (2006/11/22) ジェネオン エンタテインメント この商品の詳細を見る |
毎日、夜の駅前広場で歌い続ける少女・雨音薫。彼女は太陽の光にあたれないXP(色素性乾皮症)という病気を抱えていた。昼夜が逆転した孤独な日々を送る彼女の楽しみは、明け方からサーフィンに向かう孝治を窓から眺めることだった。そんな二人を運命が引き寄せるが…。シンガーソングライターのYUIが映画初主演で贈る、月の光の下で限られた時間を、歌と一緒に生きた少女の物語。このXPという病気は太陽の光(紫外線)に触れると死に至る病で、また、そうでなくとも、やがて神経症状に体が蝕まれ、全身が麻痺し、遂には死に至ってしまうという難病であるらしい。
(Amazon商品説明より)
本作はそのXPを抱える女の子が恋と歌を通して、儚くも精一杯に生きる物語である。
導入部であるヒロインの雨音薫演じるYUIと孝治演じる塚本高史の出会いまではXPのために昼間において外出がままならないヒロインが夜間に一人で駅前に繰り出し誰もいない場所で歌を歌い続けるという不遇さと不幸な異質性がわかるが、それが暗く描かれておらず、作品の芯にある彼女の明るさと強さがこの後、映画が終わるまでずっと存在し続ける。
出会いの場面は、凡庸、しかし彼女の異性に対する真摯さと外の世界と接した経験が少ないことからくるコミュニケーションの下手さは微笑ましい。
それでも、等身大の高校生に近い像ではあるのだろうが、ヒロインと付き合った男の間に気の利いた会話がないというのは少し残念ではあった。作品全体にも言えるが、台詞回しに優れたセンスは感じられない。恋愛物を見る時、空想でしかありえないようなウィットに富んだ会話交換をしつつ、視聴者には現実感を錯覚させるという手法を期待するのだが、本作はその面でやや期待を裏切られた。もっとも、作品そのものが少し重いので、妙にくさい歯が浮くような台詞を詰め込むよりは良かったとも思う。
話も後半に進むと、ヒロインが神経症状に蝕まれ、片手が動かなくなる。ヒロインは死を予期しつつも、映画全体を通して貫徹される彼女の明るさと意志の強さに忠実に展開されていく。
お約束ではあるが、ヒロインは最後に死ぬことになる。「死んだ」という事実そのものはあっさりと表現される。恋人同士、家族同士で死にゆくもしくは死んだヒロインを涙で飾るというありがちなシーンがない。むしろ、クライマックスの場面で父親に太陽の光を浴びて思いっきり走り回ってみるように勧められて、生きるためにそれを拒んだヒロインと、ヒロインの死後、ヒロインと共に棺の中に入れられた沢山のヒマワリが映画に貫徹されるヒロインの明るさと意志の強さを象徴していて清清しい。
本作は全体を通して哲学めいたセリフや押し付けのメッセージ性がなく、XPという特徴のみに委ねた凡庸な恋愛映画ではあったが、無理に背伸びをして高尚なメッセージを持たせたりせずに凡庸のままで終わらせたことが観ている側に無意識のうちにXPという病気に対する親近感を与えたと思う。終わってみれば、よい映画であったという感想である。
余談だが、ヒロイン役のYUIを含めキャスト全員に存在感がなく、岸谷五朗ですらも周りの存在感の無さに引っ張られるようにして存在感が消えていた。少し頑固な親父という役どころにして存在感がないというのは現代の社会通念に照らしてリアルではないだろうか。
ラストで主人公が死んでしまう物語は多数ありますが、
だからこそ表現・・・というか、その描写は大切かもしれませんね。
私も「読むと必ず泣く」小説があり、それもラストは主人公が死んでしまうのですが、
文面には「死んだ」という言葉がありません。
描写から「ああ、多分死んだんだな」と思わせる。
コウイチさんの言うように清清しい。
荘厳でもあります。
だからこそ、余計泣けます。
だからこそ表現・・・というか、その描写は大切かもしれませんね。
私も「読むと必ず泣く」小説があり、それもラストは主人公が死んでしまうのですが、
文面には「死んだ」という言葉がありません。
描写から「ああ、多分死んだんだな」と思わせる。
コウイチさんの言うように清清しい。
荘厳でもあります。
だからこそ、余計泣けます。
2006/10/11(水) 22:13:49 |
URL |
いくちゃん #-[ 編集]
ちなみに・・・。
その小説は立原正秋著 「冬の旅」です。
現在、絶版で古本屋で入手の可能性が・・・
すこ〜しだけ、あります。
その小説は立原正秋著 「冬の旅」です。
現在、絶版で古本屋で入手の可能性が・・・
すこ〜しだけ、あります。
2006/10/11(水) 22:15:15 |
URL |
いくちゃん #-[ 編集]
>>いくちゃんさん
死の表現は難しいかもしれませんね。
どのような表現にされたものが、自分の感性に照らして、これだ、といえるか。情報化社会とやらで必要なのはきっとこれなのだと思いつつも、僕はどういう死の表現が好きなのか自分でもよくわからないです。
タイヨウのうたは清清しくて良かったです。
ただちょっとだけ登場人物がバカっぽいのが……。
死の表現は難しいかもしれませんね。
どのような表現にされたものが、自分の感性に照らして、これだ、といえるか。情報化社会とやらで必要なのはきっとこれなのだと思いつつも、僕はどういう死の表現が好きなのか自分でもよくわからないです。
タイヨウのうたは清清しくて良かったです。
ただちょっとだけ登場人物がバカっぽいのが……。
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