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【本】 『光抱く友よ』 (高樹のぶ子)

光抱く友よ 光抱く友よ
高樹 のぶ子 (1987/05)
新潮社
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 悲劇的な家庭環境の方が却って家族の絆が深まるという言説や愛や思いやりがあればシングルマザーでも幸せな家庭を築くことができるというのは僕にとっては詭弁にしか聞こえない。全て否定はしないが、全て肯定できるものでもないだろう。愛や思いやりを用いるのであれば、それは決して自己に都合のよいものとしてではなく真摯に子どもに対して向けたものであって欲しい。家庭において真の弱者は子どもである。子の親殺しが問題なっているが、親が子を虐待しているのがそもそもの問題であろう。これを学校教育で何とか出来るというのだろうか。

 『光抱く友よ』は女子高生・相馬涼子の視点から見た同級生・松尾勝美と松尾勝美の母・千枝との関係が描かれている。アル中の母・千枝の飲酒・暴力を止めるために殴る松尾(勝美)、千枝に殴り返される松尾、たまらなくなって家出をして男のとこに転がり込んだこと、それでもやはり母親を捨て置けず生活費を稼ぐために学校を休んで働いていること。典型的ともいえる不幸な家庭である。典型的すぎて読んでいて白々しく感じてしまうかもしれない。そこを大学教授の娘で優等生の涼子という無垢な視点から描き衝撃を高めることによって話の均整を保っている。松尾の視点から描いてこの母子の関係を深く抉って欲しかった。

 なお、表題作の他に『春まだ浅く』という童貞と処女が互いにそのことを思い悩む恋愛物語が収録されている。そういうのに興味ある人は、どうぞ。
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