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【本】 『ニューヨーク・シティ・マラソン』 (村上龍)

ニューヨーク・シティ・マラソン ニューヨーク・シティ・マラソン
村上 龍 (1989/09)
集英社
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 村上龍の短編小説集。

・ニューヨーク・シティ・マラソン
・リオ・デ・ジャネイロ・ゲシュタルト・バイブレイション
・蝶乱舞的夜総会
・ハカタ・ムーン・ドッグ・ナイト
・フロリダ・ハリー・ホップマン・テニス・キャンプ
・メルボルンの北京ダック
・コート・ダ・ジュールの雨
・パリのアメリカ人
・ローマの詐欺師

 以上の9編の短編小説が収録されている。題名を見ただけでは全くどんな話かわからないのがワクワクさせる、というのが村上龍ファン的にあるべき姿なのかもしれないが、僕はB級映画を見るように恐る恐るページをめくった。意外と面白かった。題名は訳が分からないが、内容は他の村上龍小説の流れに沿っているものであった。そういう意味で、目新しさがなかったのは残念だったが、一つ一つの話がうまくまとめられており、読者として村上龍の世界に引き込まれていった。

 ただ、村上龍は本作を書くにあたって、海外の人間、特に、とりあげた土地で育った人間を意図的に主人公にしてみたらしいが、価値観や考え方というのがいくらグローバルとはいえ、少し日本人的すぎるような気はした。通信手段や交通機関、つまりテクノロジーの発達によって全世界をある共通の価値観が被いつつあるという村上龍の見方は説得力があるが、僕はグローバルスタンダードというのは、田原総一郎なんかの言葉を引くまでも無く、日本や中国やアメリカなどのそれぞれのスタンダードがひしめきあって、価値観同士が闘いあって生まれるものであると思っているので、単純にテクノロジーが発達したから、全世界の価値観が共通になるというのは少し違うのではないかと思う。頓に情報技術が発達し、インターネットが普及した現在では、むしろ、価値観に対して、閉鎖的強硬的な姿勢が目立ってきているような気がしてならない。

 まあ、でも、繰り返すが、本作は結構面白かった。村上龍が書いて、山田詠美が解説に出てくる。そんな小説だが、そんな小説を書く村上龍が好きだ。
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