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太れない男

 以前にメタボリックシンドロームについて書いたことがあるが、最近は特にその言葉をよく耳にする機会が増えてきたように感じる。「メタボ」なんて略称まで出てきているけど、おいおい、メタボってなんだか格好よいネーミングだけど、要するに腹が出ている醜い人間が病気の恐れがあるって決め付けてしまっている基準なんだってことわかってるの? などと心の中で呟きながら、実は僕も昔すごく腹を出したことがあることを思い出した。

 僕は基本的に太りにくい性質で、食べても食べても体重が増えない。ある種の人間には羨ましく思われるが、僕はがっしりしたタイプに憧れていたので、一念発起、体重を増やそうとしたことがある。どうするかというと、当時適当に聞きかじっていた相撲取りの太り方の方法をためした。要するに食べて、寝る。食事は2食。これである。これを僕はひたすら繰り返した。食べるものはなるべくカロリーの高いもので、例えば一食で冷凍の200g以上の唐揚げチキンを全部平らげてしまったり、おやつに3連プリンを一度に全て平らげたりしていた。

 1ヶ月ぐらい繰り返したと思う。僕は異変に気づいた。それは腕などは全く変わらないのだが、お腹だけがやたらブヨブヨで少し背中を曲げると見事な三段腹になってしまっていた。これには驚いた。一番肉がつかなくていいところについていたからだ。僕は自分のお腹に恐怖を覚えて、次の日からダイエットに取り組んだ。なんて意味のないことをやっているのだろう、と泣きたくなった。

 食事は規則正しく、ところてんやこんにゃく系などなるべくローカロリーのものを中心にとり、筋肉を作るために低脂肪高たんぱくの食品を加え、腹筋運動と背筋運動を欠かさず、有酸素運動をして脂肪を燃やす、といったことを繰り返しに繰り返して、なんと、元のお腹よりも見事なお腹を手に入れることが出来た。

 そういった経験があるからだろうか、エロ動画でお腹がブヨブヨの女性のヌードを見ても性的興奮が得られない。メタボリックシンドロームには賛否両論があるだろうが、同性・異性問わず、お腹が出ているというのは著しく性的魅力を損なうと思うのだがどうだろうか。特に本気で自分の体を変えようと思ったことのある人間なら尚更であろう。
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