【本】 『リング』 (鈴木光司)
![]() | リング 鈴木 光司 (1993/04) 角川書店 この商品の詳細を見る |
僕は松嶋奈々子と真田広之の映画版リングから入ったクチである。映画作品自体すごく楽しめたので小説版も同様にすごく楽しめるだろうと思っていたが、残念ながらその期待は裏切られた。決してつまらないわけではないし、むしろ呪いのビデオと貞子についての謎を解明していく様が淡々と綴られていて楽しいのだが、ホラー小説としての怖さが読者側の自分に迫ってこなかったのだ。
ところで、原作と映画版ではかなり異なる部分がある。原作では主人公の浅川は男で妻子持ちだが映画版では女でバツイチ子持ち、原作では高山竜司は浅川の友人だが映画版では浅川の別れた夫、原作では高山竜司が呪いのビデオに殺されるシーンは鏡に100年後の変わり果てた自分の姿が映るが映画版ではあの有名なテレビ画面から貞子が這い出てきて殺されるシーンになっている、また原作では貞子は長尾医師にレイプされた後に井戸に身を投げられて殺されるが映画版では父親である伊熊平八郎に頭を殴打され井戸に落ちて死んでいる。原作が映像化されるにあたり設定が変わることはよくあることだ。僕は本作に限っていえば映画版リングの方が原作小説よりも好みであった。原作の方が人間味に溢れていて文学的に楽しめるが、例えば高山竜司の人間としての複雑さなどは映画でやってしまうとくどすぎるので実際の映画版のような浅川との元夫婦という繋がりにしてしまうという設定変更は見事であったと思う。しかし、大幅な設定変更のためか映画版のその後のリングシリーズはより原作から離れざるを得ず、話が捩れ過ぎていて整合性を欠くところがあるようだ。もっとも原作小説の方も続編のシリーズは賛否両論のようである。僕も現在手もとにリングシリーズの小説を置いてあるので近いうちに全て読みたい。
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