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【本】 『龍言飛語』 (村上龍)

龍言飛語 集英社文庫 龍言飛語 集英社文庫
村上 龍 (1994/08)
集英社
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性描写が規制されても、俺は全然困らない

 漫画の性表現のことが話題になったけど、そういう話自体、聞きたくないという感じがするな。
 俺も好きな漫画はいっぱいあるけど、その中には性描写なんて出てこない。だからはっきり言って、そういうことを描く漫画家というのも好きになれない。
 女の人の尻とかおっぱいというのは絶対に力があるものなんだ。たとえば一ページに女のおっぱいが描いてあればそれはみんな見るって。立派なことを喋っている宣伝カーのおじさんよりも、街頭で女の人が裸になればそっちを見る。それと同じだよ。
 だから、ただ裸にすればいいというのではイージーと言われても仕方ない。おばさん達の肩を持つわけじゃないけど、俺は抗議する人の気持ちもわかるよ。
 少なくとも俺は、お上が性描写を規制しても全然困らない。その網をかいくぐればいいと思っている。
 規制する側はバカだから規制するし、される対象もバカだから規制される。少し頭を使えばどうとでもできるよ。たとえば女の人の背中だけでも、ビンビンになっちゃうような映画は撮れるんだ。
 樋口可奈子を篠山紀信さんが撮ったには誰も文句を言えないだろう。芸術であり、セクシーで、スキャンダラスだ。手をつけていないんだ。「樋口可奈子のヌードは素晴らしい。だから俺はカメラを通して、ある瞬間を切り取ればいい」という姿勢がうかがえる。
 だめなカメラマンというのは女性の裸やセックスにストーリーをつける。ストーリーを追う行為は男の寂しさからきている。自分のコンプレックスをそれで埋めようとしているんだ。それは不健康だよ。もちろん女性の裸は男の貧しいストーリーを補うことができる。でも、そのストーリーを女性の裸でコントロールしたり、自分の思うように手を加えたりできると考えるのは浅はかで、無遠慮だ。自分の道具にしているつもりなんだ。
 だから、本当だったらおばさんが怒るんじゃなくて、若い女の子達が怒るのが筋だろうな。
 最近またまた児童ポルノについて喧しいけど、規制賛成派っていうのは宗教右派のカルトだってことにされているんだって? 馬鹿いうんじゃないよ。自称リベラル・マイノリティの味方の社民党だって怪しいよ。保坂展人なんかはオタクの味方ぶってるらしいけど、福島瑞穂なんかはどうかな。最近セゴレーヌ・ロワイヤルと会った席で、日本の漫画などの性表現に言及されたって報道されていた。社民党としては一応建前としてマイノリティの味方だからオタクを包摂するような態度も見せておくというのは戦略としてあるのかもしれないけど、漫画の性描写、というよりも性描写が中心になっている漫画やゲームにありがちな女性像に対する文化的背景は本書『龍言飛語』にもあるけど、やっぱり差別的なところがあると思うし、そうだからこそリベラルの目線でオタク文化の根幹を支えているといってもいい萌えエロに対して批判している人もいるんじゃないかな。表現の自由はいくら大切だからってそれが女性の尊厳とかっていうのとバッティングしてきたらどうだろう。やっぱり福島瑞穂なんかは規制推進派にまわるんじゃないかと思うね。まあそんなのは女に対してだけではなくて男に対しても沢山あるわけなんだけどさ。

 ただ、規制派のアニメやゲームなどのバーチャルリアリティが犯罪行為を助長するっていう言説は確かにどうかとも思う。根拠が薄弱であるし、熱心に表現規制に反対の活動している人に言わせれば逆にポルノが性犯罪を防いでいるって、データまで出しているしね。僕は日本の治安の良さというのは世間コミュニティー、つまりムラ社会的共同体なわけだけど、それの明るい、メリットの部分でもあると思ってるけど、ポルノ表現や暴力表現で劣情などの捌け口になっているというのもあるとは思う。だけど、そう考えると、ポルノ表現とかっていうのはやっぱり相当なパワーであり影響力があるっていうことでもあるんだよね。

 性犯罪を犯す人はゲームや漫画を見なくても性犯罪を起こすのであって漫画やゲームが直接の原因ではないっていう弁明もあって、前にテレビで見た全米ライフル協会の銃に対する弁明と全く同じこといっていて確かにそういう面もあるだろうけど、ポルノのパワーに触れるということが現実犯罪への抑止力になっている言説を併せて考えると矛盾もあると思う。影響力があるからこそ良い面に作用されるわけだろう。つまり影響力に流されているわけだ。

 それに俗流若者批判に対して反論している後藤和智はメディアのキレる17歳報道で見事にひよっちゃって実際に17歳になるのが怖かったっていうし、宮台真司は今のオタクは同世代の女の子のイメージをメディアで勘違いしてオタクの道に走ったって言ってる。宮台の言説は、ときメモ・下級生・サクラ大戦・Kanon・こみパなどなどとやってきた僕からすれば噴飯物だけど、実際に宮台の言ったとおりに現実の女の子に対する勘違いで萌えの道に走った人もいるかもしれないし、とにかく、メディアの影響力っていうのは過小ではない。漫画やゲームの影響力も同様で、正負の面を綜合して考えて、どう規制していくのか、規制しないべきなのか、をもっとオープンに話し合うべきだし、マイノリティを包摂したいからという理由でリベラルの立ち位置の人が戦略的にオタク擁護をしてしまうのは社会のためにならないと思うし、保守的道徳律を重んじる人で同じ立ち位置の人が規制に賛成しているから本音は反対だけど同調圧力に屈して自分は声を出さないというのもまずいと思う、アニメやゲームが好きならね。

 でも、教育基本法改正に賛成して、親や教育現場や教師をボロクソに叩きまくった人がアニメやゲームや漫画だけは悪影響を与えていないというのはちょっと擁護できないかもしれないな。保護される対象となっている子に直接的に接している親や教師の教育的な質を向上させたいと本気で願うならアニメやゲームや漫画の影響力のすごさはもっと真摯に向き合うべきだと思うし、実際に親や教育現場では児童ポルノの表現物に対して脅威を持っているわけだろう? それを無知だから脅威・不安に思うんだと放言するのは楽だけど、責めるのはかわいそうだよ。物事っていうのは本気で取り組むほど不安になるものだし、太宰治じゃないけど世の中の人間は全員が世間知らずだからね。アニメやゲームを擁護している人だって今の世の中で子どもを育てる大変さというのを本当に知っている人は少ないだろう。

 と『龍言飛語』風に書いてみた。
 この「児童ポルノ」というのは具体的にどういうものを指すのでしょうか? 児童っていうからには小学生以下が出演しているのですか?

 コウイチさんのブログには、児童ポルノを観る側のことを主にかいていらっしゃいますが、観られる側もいなければ商売はなりたたない。
 成人女性あるいは男性で、自分で納得して大股開きをしているなら全く問題はないのですが、それが児童の場合、製作する人も見る人も犯罪者だと思います。

 幼児がペニスをくわえさせられている映像を見て、はぁはぁやってる人は死んだ方がいいです。


 話はだいぶ逸れますが、小林薫は何度も幼児を対象とした性犯罪を犯していますが、「なおらない」と自覚しています。
 だったらなぜ、殺人を犯す前、出所する時に去勢を勧めないのでしょう? 人権無視? でも何回も幼児相手に猥褻行為を繰り返し、再犯する可能性がすごく高いのに、ぽんっと世の中に出して犯罪を誘発する方が人権無視のような…。

 もちろん本人の希望がなければ、そんなことは出来ないし、去勢といっても外科手術じゃなくて薬物でできるという話です。

 希望する性犯罪者もいると思うけどなぁ。甘いですか?
2007/01/04(木) 22:27:05 | URL | kei #-[ 編集]
>>keiさん

実写系児童ポルノについてはkeiさんのおっしゃる通りですが、所謂オタクと言われている人の言い分としてはアニメや漫画は実在の児童に対して性行為をさせているわけではないのに規制するとはひどい、ということらしいです。
また、18歳未満に見えるという曖昧で主観的な基準で規制されると下手すると全て規制されてしまうのではないかと戦々恐々としているわけですね。
2007/01/05(金) 23:25:51 | URL | コウイチ #-[ 編集]
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