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【映画】 『嫌われ松子の一生』

嫌われ松子の一生 通常版 嫌われ松子の一生 通常版
中谷美紀 (2006/11/17)
アミューズソフトエンタテインメント
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 川尻松子(中谷美紀)という一人の女性の53年の生涯を描いた話。真面目で歌の好きな教師だった松子はひょんなことから過ちを犯してしまい、ソープ嬢、犯罪者、美容師、光GENJIのファン、そして孤独なひきこもり生活まで堕ちていく。付き合った男には暴力を振られ、捨てられ、家族にも縁を切られ、客観的には典型的不幸な人生だ。しかし、本作では不幸な人生を明るくコミカルに描くことによって観る側の価値観をくつがえそうとする。「不幸」であることは果たして本当に不幸なのか。

 松子は自分の選択と自分の愛する人だけを信じて人生を突き進んだ。松子は言う。一人ぼっちはいやだ、と。待つのも進むのでも不幸であるならば前進を選ぶ松子が体現するアグレッシブさと外向な姿勢は、それまで松子が関わってきた人間達に幸福を与えていた。映画は問いかける。何をしてもらってきたかではなくて、何をしてあげてきたかが重要ではないか、と。

 松子は晩年孤独なひきこもり生活を送っていたが、友人と再会することで再び希望を見出し歩みだそうとした。夜中に不良中学生に対して帰宅するように注意することで反感を買って殺されてしまったが、最後の最後で再び幸福感を味わったのかもしれない。人生を100%生きたのかもしれない。

 ただ、松子のアグレッシブな生き方と幸福の見つけ方は何か世界名作劇場的でフィクション的でどこかでうそ臭さも感じた。そして、観ている側としては幸福な気分というよりも悲しい気分にさせた。堕ちに堕ちたときに故郷と家族への感傷で生きてしまう松子の生活が醜い松子の容姿とリンクしているように感じたが、その割には結局映画の最後では「温かい家族」の像で締めくくってしまっていたからだ。今度は「松子の幸福」は果たして本当に幸福だったのか、という疑問が湧いてくる。

 ところで、世界名作劇場といえば今やっている『レ・ミゼラブル 少女コゼット』のファンティーヌの世間知らずと間の抜け具合がちょうど松子にだぶった。
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