コウイチブログ

本と映画と、ついでに市原市
トップ → 【本】 『イビサ』 (村上龍)

【本】 『イビサ』 (村上龍)

イビサ イビサ
村上 龍 (2001/12)
角川書店
この商品の詳細を見る

精神病院を退院して三日後に出会った男に、贅沢な旅を約束され、パリにやって来たマチコ。やがて男のもとを飛び出した彼女は、背徳的で淫靡な生活に幻惑され、コートダジュール、タンジールへと「自分と向かい合う」ための旅を続ける。姦淫、交霊、殺人、愛…旅の過程で様々な経験をしていくマチコは、「イビサへ」と囁く老婆に従い、また新たな旅へと向かうのだった。人間の存在意義を描ききった、衝撃の破滅的ストーリー。
 著者はあとがきで、これは破滅的なストーリーである、と述べている。自分と向き合かい合うのは危険なことで、麻薬や宗教や芸術やセックスは、自分と向かい合うのを避けるために存在しているというのも村上龍の従来からの主張と全く重なる。本作は自分と向かい合う旅、それを実践した女性の話だ。

 衝撃的なつまらなさだった。紀行文的な内容の中に村上龍の経験や知識が余すところなく披露されていたが、決定的なセンスのなさがまさに村上龍自身が嫌っているスノッブに成り果てていた。昔、石原慎太郎が村上龍を評価していて、村上龍の父親は美術教師だったらしいのだが、そういう関係性の中で培われてきた美術的素養を石原慎太郎は村上龍の中に「自分と同じだ」と重ね合わせることで高く評価していたが、本作は村上龍が自分の考えを極めて美術的に映像的にメタファーとして著した結果、皮肉にも石原慎太郎の小説と同じ種類のつまらなさを有してしまったように感じる。村上龍の撮影した映画を僕はまだ観た事がないが、大変に評判が悪いことを知っている。きっとそうなのだろうな、と感じさせられた出来の小説だった。
本はどうであれ、イビサは踊り好き、パーティ好きにはとても楽しい島だし、ビーチもとても綺麗。イビサのイメージが壊れるのはやだなぁ
2008/08/06(水) 15:16:54 | URL | k-co #-[ 編集]
URL
コメント
パスワード
秘密
管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバックURLはこちら
http://kouichi0226.blog71.fc2.com/tb.php/465-bfae2e8f