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【映画】 『月はどっちに出ている』

同僚の運転手が道に迷えば、月の位置で場所を教えるのが日課になっているタクシー運転手の忠男。在日朝鮮人の彼は、母が経営するスナックで働くフィリピーナ・コニーに惹かれている。コニーにはいつも冷たくあしらわれていた忠男だったが、ある晩口説き落として一夜を共にすることに成功。忠男は、翌日からちゃっかり荷物をコニーの部屋に持ち込んで一緒に住みだすが…。
 在日コリアンの運転手の日常を描いた崔洋一監督の30分程度の短編ムービー。本作は石橋凌が主演だが、後に同じく崔洋一監督によってリメイクされた岸谷五朗主演の同名映画もある。

 観て、主人公が在日朝鮮人であることの極めて強い特別さ・異端さ・切実さは感じなかった。あえてそうしなかったのだろうが、フィリピーナの方がよほど苦労しているように映像に表現されていたのがなんだか滑稽なのだ。もっとも、在日朝鮮人という存在のその中途半端さこそが本作が表現したかったことであるといえるのだろう。

 映画序盤にフィリピーナのコニーが在日コリアンの主人公に向かって「あんたも日本人と変わらない」というセリフを喋るシーンがあるが、それから後に映画内に出てくる下衆な日本人と在日コリアンの主人公の所作との対比、そして、映画タイトルである『月はどっちに出ているか』というのは作中に頻繁に登場するいつも道に迷うタクシー運転手の同僚に対する道標のアドバイスだが、フィリピーナとの恋やタクシー内での朝鮮人揶揄などの出来事を展開しきった上で、ラストに道に迷った同僚運転手が登場し背景に富士山が映っているシーンなどはなかなか含蓄があるとは思った。
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