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【本】 『村上龍映画小説集』 (村上龍)

村上龍映画小説集 村上龍映画小説集
村上 龍 (1998/04)
講談社
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 村上龍が高校を卒業してすぐに長崎を出て上京してから麻薬とセックスと音楽に明け暮れた退廃的な生活を過ごした1970年代の数年間を題材に書かれた自伝的小説集。「集」なのは短いエピソードの作品が集まっているからで「映画」なのは文字通りエピソードごとのタイトルに有名な映画作品のタイトルがつけられており、その映画作品をアイテムにして出来事を回想する形になっている。使われたタイトルは『甘い生活』『ラスト・ショー』『地獄に落ちた勇者ども』『大脱走』『狼は天使の匂い』『アラビアのロレンス』『ブルー・ベルベット』『地獄の黙示録』『ロング・グッドバイ』『レイジング・ブル』『スコピオ・ライジング』『ワイルド・エンジェル』。村上龍の自伝小説内容がメインであって映画作品そのものをテーマにしたわけではないし、相当脚色されているだろう本編内容も過激なフィクションの世界を描くのがうまい村上龍にしては凡庸に感じてしまった。青春小説という言葉に代表される意味合いを背景にして読めばそこそこ面白いが、主人公が無力で村上龍らしい暴力性を出せていないところがリアルすぎて村上龍の一ファンとしてあまり好きになれなかった。もっとも、労働に対する罪悪感などは如何にも欧州的で村上龍らしいと感じたし、成功した後だからこそ書けるというような何かが裏打ちされたいやらしさもまた村上龍らしさを感じることはできた。

 なお、巻末に村上龍ファンによる感想文が掲載されている。昔、『龍声感冒』という個人が運営する村上龍ファン向けのウェブサイトが存在していて、そこの管理人であった栄花均が村上龍に感想文を募集してはどうだろうと提案されて実際に募集して編集し、掲載されたのが本書巻末の通りなのだが、「文学的な評論ではなくて、その作品を読む前の自分の状況と、読んだ後の気持ちを中心に書いてくれるようにお願いして募集した」割に文学的な評論でスノッブな文ばかりが掲載されているように感じた。これは編者としての栄花均の好みがそうしたというよりも、これこそが村上龍ファンを実によく象徴している感想文であるといえるのだろう。わざと滑稽さを演出したのだとしたら編者として見事である。
初めまして。
龍声感冒のこと、懐かしく思い出しました。
栄花さん、いまはどうしてらっしゃるのでしょう?
2007/04/01(日) 02:01:05 | URL | kiku #-[ 編集]
>>kikuさん

はじめまして。
個人サイトの管理人の方とコンタクトをとる村上龍はすごいですよね。
ただ、そのサイトのことはあまり詳しくないです。共生虫とかJMMとかのようなネットをうまく利用した公式的なコンテンツはみてましたが、個人サイトとなるとなかなか……という感じでした。
2007/04/01(日) 23:46:23 | URL | コウイチ #-[ 編集]
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