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【本】 『幸福論』 (ヘッセ)

幸福論 幸福論
ヘルマン ヘッセ (1977/01)
新潮社
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 年をとった人々が、いつ、どんなにたびたび、どんなに強く幸福を感じたかを思い出そうとすると、何よりも幼年時代にそれを求める。もっともなことだ。なぜなら、幸福を体験するためには、何よりも、時間に支配されないこと、同時に恐怖や希望に支配されないことが必要だからである。そしてたいていの人は年とともにそうする力を失うからである。
 なんとも観念的というか感覚的というか、訳者の高橋健二氏の解説によれば時間を越えたところに真の幸福が味わわれるらしいが、どうにも難解だった。感覚として、感性として、ピンとは来ないが、朧に、肌の表面を伝わるようにして自分の中へと吸い込まれて来そうな気はするのだ。しかし、肌の表面を伝わるばかりでもどかしい気持ちで満ちた。

 ヘルマン・ヘッセを読むのはこれが初めてだった。他の著作を読めばこの『幸福論』に書いてあることももっと分かるのかもしれない。でも本書に書いてあることは、はたして知識を積めば理解できるようになることなのだろうか?
 完全な現在の中で呼吸すること、天球の合唱の中で共に歌うこと、世界の輪舞の中で共に踊ること、神の永遠な笑いの中で共に笑うこと、それこそ幸福にあずかることである。
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