【本】 『注文の多い料理店』 (宮沢賢治)
![]() | 注文の多い料理店 宮沢 賢治 (1996/06) 角川書店 この商品の詳細を見る |
「ぼくは二千四百円の損害だ」「ぼくは二千八百円の損害だ」とお互いに死んだ犬を見ながら言う。また、狩猟で何も獲れなくても宿屋で山鳥を拾円も買って帰れば結局同じことだと言う。そこにはお金を出せば何でも買えると思っている宮沢賢治の唯金主義的な都会人像とそれに対する嫌悪感が表れている。
二人は帰ろうとするが道に迷う。互いに空腹状態であることを確認する。すると、二人のうしろに「西洋料理店・山猫軒」という札が出ている立派な一軒の西洋造りの家が見つかる。二人は山奥にある料理店の存在に疑問を抱くが、空腹でとにかく何かを食べたくて仕方が無いという欲望には抗えずに店内に入る。そして、料理店の出す「多い注文」にいちいち素直に従い、とうとう壷の中の塩を自分達にもみ込むように指示されるようになって、ようやく自分達がこの店で料理にされてしまい食べられる側であることを知る。
目の前の扉の鍵穴から青い目玉がこちらをのぞいていることを知り、二人は恐怖で顔をくしゃくしゃの紙のようにして泣きだす。すると、死んだはずの白熊のような犬が二匹、扉を突き破って室の中に飛び込んでくる。犬は青い目玉の扉の方へ吸い込まれるように飛んでいく。室は煙のように消え、気づくと二人は草の中に立っていた。
寸でのところで助かった二人は、十円だけ山鳥を買って東京に帰ったが、紙くずのようになった二人の顔だけはもう元の通りにはならなかった。
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