【映画】 『硫黄島の砂』
![]() | 硫黄島の砂 アーサー・フランツ、フォレスト・タッカー 他 (2006/12/14) ファーストトレーディング この商品の詳細を見る |
1943年、ニュージーランドの基地で戦争訓練を行なっている米海兵隊のジョン・ストライカー軍曹は、その過酷さの故に鬼分隊長として部下の反感を買っていた。新兵のピーター・コンウェイは、戦死した父大佐のことを元部下のストライカーが誉めるだけ、一層彼を敬遠していた。コンウェイがストライカーの反対を押し切ってアリスン・ブロムウェイと結婚する頃、分隊はタラワ上陸作戦に参加することになった。この戦闘で分隊は兵数名を失い、トーマス伍長は橋頭堡でコーヒーを飲んでいるうちに、戦友を日本兵に刺し殺される失策を演じた。そしてストライカーは、親友のベスが重傷を負って呻いているのにも耳を貸さず、コンウェイらを憤激させた。分隊はハワイへ帰り、ストライカーは街の女メリーと知り合ったが、彼女に子供のあることを知って何事もなく別れるが一息ついたストライカーは日本兵に狙撃されてしまう…。まったく日本て国はとんでもない国だよ。自分の命を大切にしない野蛮な奴らの国なんだぜ? 塹壕に引き篭もって戦うしか能が無い。隠れたところから突っ込んでくる卑怯な作戦しかとれない奴らなんだぜ? 機関銃ぶっ放しながら笑みを浮かべているし、まったくカミカゼの国は恐ろしいよ。俺たちは違う。星条旗に忠実であるし、何よりも、命を大切にしている。俺たちは全員生きて帰ってみせる。
タラワの戦いと硫黄島の戦いを描いた1949年のアメリカ映画。ジョン・ウェイン主演。映画として撮影された映像と実際の戦争の記録フィルムを融合させて制作された映像は、撮影された映像が安っぽすぎて記録フィルムに存在が負けており、映像的主従関係が倒錯していてちぐはぐではあるが、全体的には非常に迫力があるものに仕上げられている。
完全なアメリカ様の映画で、向こうの論理で向こうの視点で描かれており、日本軍が次々と火炎放射によって焼かれていく様がヒロイックに描かれているところには観ていて胸がいっぱいになってしまう。
しかし、悔しいが、間違いなく傑作映画であろう。ジョン・ウェイン演じる鬼のストライカー軍曹と彼に反発する「若い」部下達。いつ死んでもおかしくない戦場に赴いたからこそ、生きた証を残すために結婚して子どもを作り、父親になったことに強い感動を表現する男達。ストライカーはどこまでも規則を守る骨の髄まで軍人であったが家族に逃げられ酒に溺れていた。タラワの戦いにおいて、部下が戦場における油断で仲間を死なせてしまうとそれに怒ったストライカー軍曹が本気で部下を殴るシーン、一方で呻きながら遠くで助けを呼ぶ部下を軍人として冷酷に冷静に見捨てるストライカー軍曹。街で知り合った女に旦那がおらず、子どもがいることを知って、戦場では金は使えないからと、金を気前良く赤ちゃんに渡したストライカーの男らしさと虚無主義が交錯した死生観を体現してみせた格好よさ。そんな男らしさに反発する部下。子どもには男らしさに縛り付けず、知的な教育を施し、軍人とは無縁の紳士にするとストライカーに詰め寄る部下がいた。ストライカーと部下の対立は戦争の無い未来を暗示させながら、硫黄島の激しい戦いに突入し、ストライカーの死と、摺鉢山山頂の星条旗が掲げられる歴史的名シーンで幕を閉じる。
まさに戦争ドラマの旨味をこれでもかと一本の作品に凝縮させた傑作である。
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