【映画】 『救命艇』
![]() | 救命艇 ジョン・ホディアク、メアリー・アンダーソン 他 (2006/12/14) ファーストトレーディング この商品の詳細を見る |
第二次世界大戦の大西洋上で一隻の輸送船がドイツ軍のUボートの攻撃を受け撃沈された。残骸が海に漂う。その中に、ボートが一つ浮かんでいた。乗っているのは夫人記者のコニーで、平然と煙草を吸っている。そこへ、泳ぎ着いた男が助けを求めた。その男、コバックはエンジン室の技師で逞しい肉体の持ち主だ。コニーが記者魂を発揮して戦争の惨状を次々にカメラに収めようとするので、コバックは「生存者を早く探してここから脱出するんだ」とたしなめた。もう一人泳ぎ着いたのは無線技師のスタンリーだ。また、3人の男女が泳ぎ着き助けられた。富豪のリッテンハウス、看護婦のアリス、脚に負傷を負った水兵ガスだ。続いて、コックで黒人のジョーが、赤ん坊を抱いたイギリスのヒギンズ夫人を抱きかかえるように泳いできた。アリスは赤ん坊に人工呼吸を施したが既に死んでいた。ヒギンズ夫人は錯乱状態で我が子を抱きしめる。そこへ、もう一人の手がボートのへりにかかった。輸送船爆破のあおりを受けて沈没したUボートの生き残りドイツ兵のウィリーだった…。スタインベック原作をヒッチコックが監督として撮った1944年のアメリカ映画。第二次世界大戦下の大西洋上でナチスドイツに船を沈没させられて海に投げ出された者達が乗る救命ボートの上で繰り広げられる人間ドラマが描かれている。
赤ん坊とその母親、赤ん坊が死んでいることに気が触れた母親が海に飛び込んで自殺してしまったり、足を負傷した者がボートの上で切断手術を受けたり、極限の精神状態と食料と水が尽きていく状況の中で徐々に気が荒れていく者達の描写などがドラマチックにされているが、本作の見どころは、ボートによって助けられるナチスドイツの兵の存在であろう。ボートの乗員ははじめ、自分達の船を沈めた兵だからと助けることを感情的に拒絶するが、それではナチスと変わらないということになり、結局ドイツ兵を助けることにする。ドイツ兵は良く訓練されていた。医者としての技能や航海士としての技能に優れており、徐々に船の中でリーダーシップを発揮していくことになる。乗員達はそれに苛立ちを隠せないが、航海を続けるためにやむなくドイツ兵の助けを借り続けることになる。しかし、水が尽きた船の中で、実はドイツ兵が水や栄養剤を隠し持って摂取していたことが判明すると乗員達はとうとう怒りの感情に身を任せてドイツ兵を殺してしまうのだった。ドイツ兵の言い分は、乗員達が信用できなかったというものだった。乗員達は、ナチスをわざわざ親身になって助けてやったのに裏切られたという悔しさでいっぱいだったが、殺した後に悔やむ者も出てくる。その後、ボートはナチスドイツの補給艦に出くわし、助けを求めるが、船に馬鹿にされて助けてもらえない。直後、ナチスドイツの船は砲撃を受けて沈む。ここでエンド。
ドイツ兵と乗員達の関係は含みがあって面白かった。ちょっと最後が中途半端であったような気がしたのが残念だったし、乗員とナチスドイツ兵の関係性をもっと濃密に描いて欲しかったという気もしたが……。
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