【映画】 『静かなる男』
![]() | 静かなる男 フランシス・フォード、ウォード・ボンド 他 (2006/12/14) ファーストトレーディング この商品の詳細を見る |
アメリカのプロ拳闘家だったシーン・ソーントンは平和な生活を望んで拳闘界から身をひき、故郷アイルランドの小村イニスフリーに帰って来た。彼は人手にわたった荒れ果てていた自分の生家ホワイト・オモーニン荘を金持ちの後家ティレーンから買いとり、静かに暮らそうと思ったのだが、この家は村の大地主で乱暴者レッド・ウィル・ダナハーの地所の隣で、かねてからティレーンに思召しのあるレッドが買い取ろうとしていたところなので、ことは面倒になってきた。その上、シーンが村に着いた日、見染めた娘と恋仲になったが、これがレッドの妹メリー・ケイトだったので、レッドはいよいよシーンに対して腹を立てた。シーンはメリー・ケイトと結婚するといい出したが、レッドは妹が気に入らない男と結婚するので持参金をわたそうとしなかった。アイルランドの習慣では結婚には必ず持参金がつきもので、メリー・ケイトは持参金なしでは恥ずかしくて結婚出来ないと悲しんだが…ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の1952年のアメリカ映画。
主人公の男(ジョン・ウェイン)はアメリカでプロボクサーやっていたが試合で対戦相手を殺してしまったことを契機にリングを降りる。リングを降り心に傷を負った男は余生を過ごすために故郷のアイルランドへ戻る。イニスフリーという村に戻ってきた男はそこで乱暴者のレッドの妹に恋をする。しかし、兄のレッドは男と妹の結婚を許さず、持参金も持たせない。アイルランドの風習では家族の賛成がなくては結婚が許されず、また、嫁入りの際には持参金がつきものだった。男はレッドの妹にそんなことは気にしなくていいと諭すが、女は納得しない。それでも周りの手助けもあってなんとか男と女は結婚に漕ぎ着ける、しかし披露宴の最中にひょんなことから女の兄を怒らせてしまい、もらえるはずだった持参金がもらえなくなる。女は自分が安い女だと思われたくなかったし、自分の先祖が残してくれた道具とお金がどうしても欲しかった。そのため男には兄を殴ってでも持参金を取ってきてもらいたいと女は思っていたが、男は隠している過去の心の傷もあって暴力をふるわない。そんな男を女は臆病者だとなじり、やがて二人の間に亀裂が入り始めて……。
という感じのロマンス作品。ボクサーが対戦相手を試合中に殺してしまってそのことを悩んでいるという設定は現在に至っては陳腐だが、当時はどうだったのだろうか。
アイルランド(の一部地域?)の風習には驚いた。名古屋の嫁入りのようなものか。厳格な因習に配慮しつつも決して囚われずにジョン・ウェインが自由闊達に女を口説くシーンが格好よかった。
一番の見どころはラストのジョン・ウェインとレッド・ウィル・ダナハーとの殴り合いだろう。それまで臆病者と呆れられていたジョン・ウェインが覚悟を決めてファイティングスピリットを漲らせ、妻を蹴り飛ばしながら義兄のもとへと8km歩くシーン、実際の殴りあいシーンになると当事者だけでなく観衆も異常に高揚してそれぞれ殴り合いを始めるシーン、そしてどちらが勝つかを賭けるシーンなどはお国柄を表現していたのかもしれない。いずれにせよ、ジョン・フォードらしい「男らしさ」「男の世界」が堪能できるシーンでもある。
夫が「男」を見せると、男の喧嘩に介入せずに、すぐに家に帰って食事の用意をして帰りを待つという配慮を見せた「女」の描き方も粋であった。
- トラックバックURLはこちら
- http://kouichi0226.blog71.fc2.com/tb.php/899-700708d3
