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【映画】 『火垂』

火垂(ほたる) 火垂(ほたる)
河瀬 直美 (2001/04)
幻冬舎
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『孤独』を抱えた踊り子と陶芸家。奈良の雄大な自然と、歴史情緒あふれる風物を背景に、彼らの激しくも悲しい喪失と再生の物語が描かれています。
 河瀬直美監督の映画『火垂』を観た。踊り子(ストリッパー)の女を主人公にした作品。舞台は河瀬直美なのでやっぱりというか奈良。恋愛要素アリ。エロアリ。でも、男性の視座におけるフェティシズム的なエロではなかった。女性視点的にエロが表現されていてエロというよりイメージとしてリアリティがあり生々しすぎてグロかった。ヒッキー男の日常でいえば、夏の暑い朝に起きてとりあえずパソコンつけてブックマークのエロサイトから女子校生系の無料動画を落としてパンツ下ろして汗と一緒にかきかき速攻で一発抜いてから2ちゃんねる巡りをするような、リアルだとわかっていても目を逸らしたくなるような嫌な生々しさだった。それの女版。僕は女ではないので女性から「その感想はおかしい」という批判はあるかもしれないけれど。

 でも、それだけというか、3時間近い本編のボリュームのほとんどが河瀬直美という女を前面に出すために使われているだけの作品だった。大まかなところでは、ケータイ小説に共感して涙する女子校生やボーダー気味な風俗嬢のブログを読んで自分も同じかもと思って楽しめる人向け。大まかな部分で云えばぶっちゃけ退屈でつまらんかった。

萌の朱雀』を観た後だと如何にも河瀬直美の映像だとわかる。ドキュメンタリータッチというか、何十年か経った後にNHKアーカイブスとかで使われても全く違和感のないような官製的な映像なのである。それともう一つ特徴的なのは作品のトーンが終始変化しないのだ。作中にハプニングが挿入されていても切り取られた映像としては前後のトーンと同じであり、ここからもどこかNHK的官製的無機質さを感じる。良くも悪くもそれが河瀬直美なのだろう。

 個としての女性性が悶え苦しみ、もがき喘ぎながらも奈良の風土・風俗にからめとられているのだが、その事に対する保守性・現状肯定性も河瀬直美らしい感性なのかも。
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