【本】 『あの金で何が買えたか』 (村上龍)
![]() | 文庫改訂版 あの金で何が買えたか―史上最大のむだづかい’91~’01 村上 龍 (2001/04) 角川書店 この商品の詳細を見る |
金融機関・企業の不良債権や債務の額は、あまりにも巨大で、どのくらいのものなのかイメージするのは難しい。しかも、巨額の税金が注入されながら、再び危機が叫ばれ、誰も責任をとろうとはしない。「知る」ということは、年を追うごとに、さらに重要度を増しているのだ。十億円という金はいったいどのくらいの価値があるのか?十億円あれば何が買えるのか?百億円、一千億円、一兆円、十兆円、百兆円だったらどうか?毎日毎晩、新聞で目にし、ニュースで読み上げられる、そういった数字を、実感としてイメージする「知る」ための絵本。テレビのニュース番組でキャスターが読み上げる莫大な数字の金額、数字として頭の中に入るが、それは一体どの程度莫大な金額なのか。読み上げられる金額で一体何を買うことが出来るか。何をすることが出来るのか。村上龍らしいセンスを感じさせるバカバカしい金の使い方を紹介して、読者に実感として金額をイメージさせている。牛丼何杯分ぐらいでしか金額に対する捉え方が出来ない僕だが、中々に楽しめた。
(Amazon商品紹介より)
二つ例を挙げる。
敬老の日に全ての老人を寿司屋に招待 2000億円
高齢化社会に突入した日本の65歳以上の老人はおよそ2000万人。この1日に限って大盤振る舞い、ひとり1万円で寿司の食べ放題、飲み放題を実施する。こうでもすればまた1年頑張ろうという気も起きるのでは? 老人たちがモチベーションを持たず病院通いばかりしているようだと間違いなく日本経済は近い将来に破綻する。
スピルバーグ、プライベートビデオ制作 1億8000万円敬老の日に老人に寿司を食べさせるというというアイディアは個人的には気に入った。先物関係の会社で苛烈な仕事に疲れた社員を元気づけるために高級ソープに連れて行くという話を聞いたことがある。それで元気になり再び苛烈な仕事をこなせるようになるという。老人にも大盤振る舞いしてやれば元気になるかも?
この人の場合、低予算でもそれなりに仕事をしてしまうから立派。アメリカで制作されたテレビシリーズ「シークエストDSV」(全22話)を手がけた際の予算は、1話平均150万ドルにすぎない。子供の運動会の撮影・編集であればこの金額で十分のハズだ。スピルバーグに子供の運動会を撮影してもらえば日本の父親の権威も復活するかもしれない、というのはもちろん冗談である。
巻頭には大臣になる前の竹中平蔵氏、巻末には覗きで捕まる前の植草一秀氏と村上龍との対談が掲載されている。今、小泉政権が終わりの時を迎えようとしている。小泉政権が格差社会生み出したとの批判、所得の再分配、地方と都市の格差が叫ばれている。最近の読売新聞と朝日新聞の格差問題への批判の論調が似てきている中で、国民も「なんとなく」格差はいけないと思わせられてきているが、何故、我々は小泉政権を支持したのか。竹中氏との対談には小泉政権誕生の頃の熱狂を彷彿とさせる、つまり小泉ジャパンを生きた日本国民として初心に返してくれるような内容になっている。財政赤字を出して、景気対策をしてもやがて子や孫にツケが来る。地方に金をバラまくよりも東京を強くした方が効率が良い。我々はそれを支持した。
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